amarillon のブログ

宇宙科学や語学に関する本の紹介をしています。

読書記録:「はじめての古寺歩き」

はじめての古寺歩き (角川文庫)

はじめての古寺歩き (角川文庫)

  • 作者:井沢 元彦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/09/22
  • メディア: 文庫

この本では、お寺の基礎知識がやさしく学べます。入門から中級、上級者向けというレベルに分けて、日本の寺が紹介されます。

たとえば「初級編」は、金閣寺や東大寺。「中級編」は東寺など。「上級編」では「四国遍路に行ってみよう」というものです。

最初の章で、古寺の3大要素(仏像、建築、庭園)、仏像の4種類(如来、菩薩、明王、天)について解説し、後半では「お寺巡りの七つ道具」(これは著者の冗談らしい。)など、「○個の○○」という形で整理してあってわかりやすい。

京都・奈良以外で古寺探索をするときに、井沢氏がお薦めの場所は小浜と近江湖北、それに九州の国東半島などだそうです。

逆に、鹿児島県は明治時代に廃仏毀釈を熱心にやったので、訪れるべき古寺がないという事です。

印象に残った部分

仏像はインターナショナルな物でもあるので、海外のお寺と日本のお寺を比較している場所があって興味深かった。

  • 仏体は光り輝くものという規定があるので、世界的には金色に塗ることが多い。とくにタイ、ベトナム、カンボジアなどの南アジアではそうであるが、日本では金メッキがはがれたら渋い色のままにしておく。これは日本の特徴的な美的感覚である。

  • 禅宗が日本に与えた影響について。昔は貴族は身の回りのことは自分ではしないが、禅宗は生活のすべてが修行だとみなすので偉い人でも掃除をする。現代、学校での掃除当番がすべての学校にあるのは日本だけである。禅は中国が発祥の地であるが、禅のよき伝統は、中国にも韓国にも残らず、日本に残っている。

  • 足利義満が建てた金閣は3層構造になっており、最上階が中国式になっている。これの意味は、「つまり、彼(義満)も中国人なのです。」ということになる。詳しくは井沢氏の別著作「天皇になろうとした将軍」を読むとわかる。

天皇になろうとした将軍(小学館文庫): それからの太平記 足利義満のミステリ

天皇になろうとした将軍(小学館文庫): それからの太平記 足利義満のミステリ

  • 作者:井沢 元彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1998/03/06
  • メディア: 文庫

  • 仏像については、教典にもとづく宗教的な解説をメインにしていて、美術的知識(どの時代の像、どんな技法を使っているか等)は、あえて細かく記さない方針。

感想

九州にほとんど行ったことがないので、本書の古寺歩き初級編で取り上げられている、国東半島の石仏を見てみたくなった。