読書記録:講談 英語の歴史
「講談 英語の歴史」を読みました。
- 作者: 渡部昇一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/07/23
- メディア: Kindle版
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渡辺氏は、「知的生活の方法」の著者の英語学者です。英語という言葉の歴史を、わかりやすくまとめた本です。
- 作者: 渡部昇一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1976
- メディア: 新書
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どういう人が読めばよいか?
英語に興味がある人。ただし、英会話の事は特に書いてない。
または、歴史好きの人が読めば、英語を勉強する動機づけになるかもしれない。
内容
英語の歴史に関する講義をしたものを基にして書籍化したものです。本の構成は、英語が言語として進化していくようすを 第一章(英語はどのように生まれたか)・第二章(中英語の時代)・第三章(近代)の順番にたどっていくというものです。著者は、自分の弟子には「学生と雑談ができる先生になりなさい」と教えているらしく、講義中の雑談としても成立しそうな面白い話が随所に挟んであります。その後の第四章が、国語と英語の学び方についての著者の考え方について書かれており、一番おもしろかった。
英語学の本場ドイツ
著者は英語学を勉強するためにドイツに留学していますが、英語学の研究の本場はドイツだからというのがその理由です。このことが何度か強調されています。古い英語は、時代が昔にさかのぼるほどドイツ語に近づいていくので、ドイツ語人にとっては、古い時代の英語ほどわかりやすいという現象が起きるそうです。
英単語力の重視
英語が使われるアメリカの社会では、どれだけの英単語を知っているか?ということが重要。なので、節目に行われる入学試験等では単語テストを重視しているそうです。
私自身の事ですが、私はカナダの大学院に留学に行くときに GRE という統一試験を受けました(GRE はおもにアメリカの院を受ける人向けの試験です)。その GRE では英単語力がとても重視されていて、不思議に思っていましたが、この本を読んで少し謎が解けた気がしました。そこで英語のボキャブラリー・ビルディングをしてみたいと思い、本書の中で紹介されていたノーマン・ルイスの Word Power Made Easy を買ってみて、少しずつ読んでいます。
Word Power Made Easy: The Complete Handbook for Building a Superior Vocabulary
- 作者: Norman Lewis
- 出版社/メーカー: Anchor
- 発売日: 2014/11/04
- メディア: マスマーケット
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試験に出すテキスト
「大学とかの国語の入学試験では、試験に出すテキストを限ってここからしか出ないという風にするべき」という意味のことが書いてあります。私の感覚だと、数学とかだとそんな風になっていると思います。高校の数学の教科書は薄くて、大学の入試問題もその中に書いてあることからしか出ないが、多彩で難しい問題が出てきます。
入試をどうすべきかという事は私にはよくわかりませんが、一般に物事を勉強する時には「同じことを何度もやって、はじめて身につく」ということはあると思います。簡単そうに見えるテキストでも、完全に自分のものとして理解してしまうのは難しいものです。一度テキストを読んだぐらいでは身につかないので、何度も読んで自然に暗記するくらいまで勉強してはじめて身につくということがよくあります。説明をするときも、同じことを何度も説明して、ようやく理解してもらえる、ということがあります。
国語・英語のテキストも、試験ごとに新しい文章を時間制限つきで読まされていると、試験の後に中身を振り返って吟味する余裕がありません。それよりは、一度読んだことがあるのと同じ文章を何度も集中力をもって読み、数回読むと、前には見えていなかったことが徐々に分かってくるようになることがあります。逆に言えば、そのような体験ができる面白い文章を読みたいものです。
まとめ
・英語と歴史の両方に興味がある人におすすめ。
・英語社会では、英単語力が重視されているということがわかった。
・第四章では、教育の話題や、試験問題の作り方に関する独自の見解が数多く披露されており、英語の枠を超えて興味深い。