amarillon のブログ

宇宙科学や語学に関する本の紹介をしています。

読書記録:「青春を山に賭けて」他

最近は海外旅行に行けていないので、せめて紀行文を読んで外国に行ったつもりになろうと思い、冒険の本を読みました。

植村直己「青春を山に賭けて」「エベレストを越えて」「極北に駆ける」

このうち最初に買ったのは2番目の「エベレスト」です。これを京都の古本市で100円で購入して読み、続きが気になったので残りの2冊も買って読みました。1960年代ー70年代ごろ、著者の植村氏が世界各国の山を探検・制覇していくようすが描かれています。自分は旅行は好きなのですが、辺境に行くことはなく、先進国でホテルに泊まるタイプの旅が好きです。逆のことをしている冒険家の書籍とかは読みたくなります。

青春を山に賭けて

1960年代に植村氏が山岳部に入部するところから始めて、大学卒業後に渡米。不法就労でぶどうを収穫したりして働く。米当局に捕まった後、フランスに渡り、モンブランをはじめ世界各地の山岳に登っていく。途中、アマゾンで2か月の川下りもする。という話。登山の技術的な話だけでなく、文化交流や交渉の話がかなり多いため山に登ったことない自分でも理解できました。

エベレストを越えて

上の本でも触れられているエベレスト登頂のプロジェクトについて、より詳細に書いた本。欧米・アフリカ・アマゾンと長期滞在から日本に帰国した植村氏は夜間のアルバイトで働くが、声がかかったので登山隊に参加し、エベレストに登る。

この本で面白いのは一番うしろの章「エベレストの魅力と南極の夢」であろうと思います。エベレストに登ってしまった著者が山に関する思いを、少し語弊がありそうな言い方もまじえて端的に語ります。山に登る理由は人それぞれなので、人に教えてもらったからといって、それがその人にとっていい山とは限らない。「山というものは結局、自分で見つけていくものであろう。」という印象的なくだりがあります。

極北に駆ける

南極横断の旅をやろうと考えた植村氏は、日本で長距離の徒歩旅行をした後に犬ぞりの訓練をするためにグリーンランドへ行った。グリーンランド北部にあるシオラパルクとよばれる集落で、植村氏は現地の人々と一緒に暮らしながら犬ぞりの訓練をする。

印象に残った箇所

技術の習得

冒険家は、冒険のプロだがつねに技術の習得の連続。現地の普通の人のほうが冒険家より犬ぞりの扱いはうまい。

旅人にとっての言語

旅行をするときに心配なのは言語の違いだと思います。植村氏は最初は英語学校に行ってからアメリカに行き、言葉が通じなくて苦労した。しかし、その後の成長の度合いがめざましく、その後アフリカに言ったときには普通に現地の言葉を習得するようになっています。のちにエスキモーに会うときは、最初からエスキモーの言語で会話しています。

文明と原始生活

冒険家の体力は凄くて、何十キロの荷物も簡単に運んでしまうし、風呂に入らなくても平気。生肉ばかり食べても生き延びていられるし、アマゾンで川下りをしたときはバナナや魚を食べて生活ができます。冒険家の書いたものでは、しばしば文明に頼らない原始生活が望ましいと言っているものが多いですが、自分の意見では、それは体力がない・病弱な者にとっても良い生活形態なのか?ということを考えておきたい。

メモのとり方

植村氏は日記やメモを元にして本を書いているみたいです。旅行に行ったときの記録を書くには自分が書いたメモを見返すのが一番良いです。しかし自分の場合にはしかし、旅行で面白いことがあった日であればあるほど疲れてしまい、宿に帰るとすぐに寝てしまって、けっきょく記録をつけそびれることが多いです。どういうメモのとり方をしたらこういう話が書けるのか?ということが気になりました。