amarillon のブログ

宇宙科学や語学に関する本の紹介をしています。

読書記録:世界飛び地大全(吉田一郎著)

世界飛び地大全 (角川ソフィア文庫)

世界飛び地大全 (角川ソフィア文庫)

吉田氏は、インターネットで飛び地に関するホームページを持っている。

https://twitter.com/no_saitama/status/1111310186470244352 https://web.archive.org/web/20190326061531/http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/

この本は、そんな吉田氏が飛び地に関する歴史・社会情勢に関して書いたもの。

内容について

上記、「飛び地研究会」のページをよく読んでいたので、本書を電子書籍で買ってみた。ホームページには書いていないこともいろいろ述べてあって、面白かった。

有名な飛び地(ガザ地区(パレスチナ)やカリーニングラード(ロシア)、西ベルリン等はもちろん詳しく書かれている。

一方で、あまり有名でないと思われ、また飛び地というより植民地にあたる領地 シェイクサイド(旧フランス領)やブーベ島(ノルウェー領)などについても、詳しく説明されていたりする。

わかったこと

  • 欧州・東欧には聞いたことがない国境線がたくさんある。

  • また、インド周辺は歴史的な事情により「飛び地の中の飛び地」などが数多くあり、混沌としているということがわかった。

興味深かった部分。

  • 東ティモールの話。

ポルトガルが残したオエクシという場所があるが、ここの住民は現在では物資の輸送ができず、困っているらしい。

  • 香港について

香港の九龍城砦は、著者が滞在していたという経験もあり、詳しく書かれている。

  • 第七章について

第七章は「飛び地についての解説」となっており、「飛び地の定義」「植民地との違い」「飛び地に関する基礎知識」がまとまっている。

まとめ

それぞれの飛び地には、人が住んでいて、それぞれの長い人生がある。

住民が数万人住んでいる飛び地もあれば、数人が住んでいるだけの飛び地もあるが、国境線の都合によって「買い物に行けない」「学校に行けない」などの状況が生まれているところも多い。

今日も飛び地の中へ農作業にでかけていく人が世界には数多くいる。そういう人々の生き方にも思いをいたした読書であった。