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読書記録:暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

  • 作者:坂井 豊貴
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: 新書

2ヶ月ぐらい前に、電子書籍で購入して読みました。

ブロックチェーン技術を、ビットコインとイーサーリアムを中心にして解説してあります。 タイトルは vs とあるが、本書の中では国家と暗号通貨の戦いの側面を特別に強調して書いているわけではないと思いました。技術の詳細に興味がなくても、読めるようになっていると思います。

著者は多数決の研究者。多数決の研究というものをしている分野があるということを知りました。

副題について

副題が「ビットコインは終わらない」となっています。ビットコインの価格が下がっているときに書かれた本らしく、「ビットコインが(値段が下がっているので)もう終わった。」と思っている人に向けられたメッセージです。

またその一方で本の終盤では、ブロックチェーン技術にのめりこんでいる人々に対しては逆に、社会はゆっくりとしか変わっていないと主張してもいます。本書の最後の章では、「新しい技術・ブロックチェーンの応用はどんどん進んでいき、世の中は速く変わりつつある。」と考えている人に、「そうではない」ということを伝えて、バランスをとろうとしています。

文体について

著者が自分のことを僕と読んでいるところとか、変わったルビ(神にサトシという振り仮名をする)等、文体や章の名前に特徴があって好みは分かれると思います。

自分は映画や小説を読まないので、たとえ話がわからないことがありました。マーク・トウェインの小説を例えに出してスマートコントラクトの説明をしているところや、「スワロウテイル」という映画の話などが出てきます。映画を普段見ている人はそういうところで楽しめるかも。

その他

匿名で送金ができる仕組みの暗号通貨が開発されています。 現在は所得を把握することを中心におこなわれている徴税のしくみが、匿名性が強い暗号通貨が普及した時代にはどうなるか?に関する考えが書かれていて面白かった。

ビットコインについて、ホワイトペーパー(bitcoin.pdf)論文を基本にして解説していく所が、アカデミアの人ぽくて良いと思いました。