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読書記録:世界の言語入門(黒田龍之助著)

世界の言語入門 (講談社現代新書)

世界の言語入門 (講談社現代新書)

  • 作者:黒田龍之助
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: Kindle版

あとがきによれば、本書はもともと、2007年にエッセイとして講談社現代新書のメールマガジンに連載されていたのをまとめ、加筆してできたものである。 原題は「世界のことばアイウエオ」だったらしい。

タイトルについて

著者が「ちょっと聞いたことがある」という程度の言語も入っているので、「入門」というよりはもっと軽いと思う。もとのコラムの題名「世界のことばアイウエオ」のほうが本書のタイトルとしてもふさわしい気がした。とはいえ、自分は書店で立ち読みをしてから買ったので、本書の内容には満足している。

というわけで、読者がこの本を読んで、世界の言語に入門というほどの学習ができるわけではない。学問的・体系的な視点からではなく、著者の個人的な主観・経験に基づいたエッセイがたくさん収録されている。

並べ方

言語の並べ方はアイウエオ順。順番はけっこう適当。たとえば英語は「エ」扱いで、「ウ」ルドゥー語と「エ」スキモー語の間に入っている。また、ベトナム語は「ヴェトナム語」として、ウイグル語の次に入っているという調子。

内容

紹介されている言語の数は90種類。「日本語」も57番目に入っている。 ロシア・東欧の言語については言語の紹介が書いてあり、東南アジア言語に対しては「勉強してみたい」と書いており、中東英仏中国語についてはちょっとディスる。という感じだった。

著者はチェコ語・スロバキア語・ロシア語等に興味がある人なので、そのあたりの言語にはかなり好意的である。いっぽうで、英語・仏語・中国語などのメジャーな言語に対してはややネガティブな書き方をしている。まあ英仏中などのメジャー言語を専攻している人は、少し悪口を言われたからといって、たいして気を悪くしないだろうとは思う。

自分は北国が好きなのでそのあたりの言語で言うと、 ロシア語、ノルウェー語、スウェーデン語、サーミ語、フィンランド語、アイスランド語、アイヌ語、エスキモー語、などは入っている。 アフリカ、アジアも満遍なく入っている。

逆に90個取り上げられている中で入っていないものは何だろう。インドネシア語のところで「海洋文化に興味がない」と書いているから、もしかすると島国の言語はあまり取り上げられてないのかもしれない。ちなみに、世界で最も多くの言語が存在する国はパプアニューギニアだとされている。

連載をもとにしているためか、記述にはパターンがあって 「学生時代は○○語を専攻したいと思っていた。○○という参考書が気になって買っておいている。勉強したい。」という流れが多い。どんだけ勉強したい言語あったねん!と思った。

まとめ

世界の言語の学習ができるほど詳しくないが、ロシア語・東欧を中心とした多くの言語の概要を知りたい人にはおすすめだと思う。

著者の黒田氏は、ほかにロシア周辺の言語に関連した面白そうな読み物をたくさん出されている。 チェックしてゆきたい。