読書記録:火山はすごい(鎌田浩毅 著)
- 作者:鎌田浩毅
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: Kindle版
著者は、火山の研究者。
最近は、富士山噴火や南海トラフ巨大地震に備えるための、防災に関する本も出されている。
本書は、2002年に書かれた本である。
プロローグ(まえがき)で、孔子の言葉が引用される。
知っているというのは、それが好きだというのには、到底かなわんのだよ。 しかしだね。好きだというのは、いま楽しんでますというのには、これまた全然かなわんのだよ。
著者と火山研究
はじめに、著者の鎌田氏が火山の研究をはじめたきっかけが書かれる。
著者は大学理学部を卒業して、公務員試験を受けて地質調査所に入った。
当時の著者は、
ぜんぜんやる気のない学生だった。・・・さっさと就職して給料もらって、優雅な独身貴族をやろうと思っていた。」
という。
しかし、地質の調査所に就職して小野さんという師と出会う。
小野さんと共に地質学の野外巡視をしていくうちに、著者は火山の面白さに引き込まれていった。
本書の構成
本書では、日本の火山を章ごとに取り上げて、解説している。
- 阿蘇山
- 富士山
- 雲仙普賢岳
- 有珠山
- 三宅島
阿蘇山の外輪山にのぼった著者の友人は、
「美しい・・・自然って何て大きかったんだろう。それを知らずに、何十年も生きてきたとは・・・」
と思ったという。
「有珠山」について
北海道にある有珠山では、2000年に噴火が起きた。 噴火が起きたとき、著者は急きょテレビ出演を依頼されたという。
情報を収集しながら、朝のニュース番組で有珠山の噴火状況を解説した体験が書かれている。
噴火のように日常見慣れない事態が起きたとき、人の理解力はいちじるしく低下する。落ち着いているときには何でもない簡単なことでも、正しく判断できなくなる。そしてパニック状態になる。そうならないように、情報を的確に伝えるには、マスコミの力が不可欠なのである。
噴火の予知
有珠山では「噴火の直前予知」に成功した例でもある。
レビューしている私も有珠山には旅行で訪れたことがある。
有珠山の近くにある火山科学館では、噴火の予知のようすについてビデオ映像等を上映して詳しく解説していたのを覚えている。
本書の中でも、有珠山の章では噴火予知について詳しく解説している。
地震予知とちがって火山予知では、噴火してからあとの方がむしろ問題となる。火山活動は長びくことが多いので、噴火の様子がどんどん変わってゆくからである。
火山を体験することの重要性
本文中では、実際に火山に出かけて、自分の目で火山を見てみることの重要性が何度も強調される。
自分で火山を体験することが、火山のすごさを感じる大きなきっかけとなることが多いようだ。
感想
火山を実際に見て、火山のすごさに惹かれるようになった著者の感動が随所から伝わってきた。
実際に火山に出かけていって火山を体験することの大切さを強調していた。
温泉にでかけたときには、温泉を生み出した火山のダイナミクスにも思いを馳せてみようと思った。
おすすめの読者
火山について、概観したい人。
本書の中で取り上げられている火山(阿蘇山・富士山・雲仙普賢岳・有珠山・三宅島)に、実際にでかけたことがある人。
火山に興味があるが、日本の中でどの火山に出かけていけばいいのか?迷っている人にとってはガイドになると思う。
まとめ
日本の数個の火山を具体的にとりあげ、それらの火山研究と「すごさ」を実体験を交えて語る本。
防災・噴火予知についても積極的に取り上げて説明している。
- 作者:鎌田浩毅
- 発売日: 2011/07/01
- メディア: Kindle版